夏の甲子園100回大会の主役はオレたちだ! 夏の神奈川大会3連覇を狙う横浜(南神奈川)が10日、横浜市内での練習試合で松商学園(長野)に9-3で快勝した。左腕の及川(およかわ)雅貴投手(2年)が自己最速を2キロ更新する152キロを記録し、4安打13三振3失点で完投した。今秋ドラフト候補の万波中正外野手(3年)は2打席連続の特大アーチ。国内11球団約30人のスカウトの前で、投打の中心が絶好調をアピールした。

 横浜のタレントたちが輝きを放った。2年生左腕の及川が、11球団のスカウトの視線をくぎ付けにした。初回。2番の土井に直球勝負を挑んで3球三振を奪うと、3番吉田はスライダーで空振り三振。4安打3失点完投で使った球種はこの2種類のみ。内角を攻め、4者連続を含む計13三振を奪った。

 力強さの増した直球は最速を2キロ更新する152キロを計測。駆け付けたスカウトのお目当ては主に、投げ合ったドラフト候補の松商学園・直江大輔投手(3年)だったが“来年のドラ1”が主役の座をさらった。オリックス中川アマスカウトグループ長は「直江くんは指先の感覚が良く将来的に楽しみだが、及川くんは今年(のドラフト対象)でもNO・1」と評価した。

 もう1人、観衆の度肝を抜いたのが5番中堅で先発した万波だ。2回無死一塁で直江の直球を左翼後方の林へ突き刺し、推定135メートルの特大弾とした。続く3回には浮いたフォークに反応し、再び左越えのソロアーチ。規格外のパワーで通算35、36号を固め打ちした。この春は打撃不振でスタメン落ちも経験。チームは前日9日の抽選会をもって取材対応を終了。景気のいいコメントを聞くことはできなかったが、打棒で状態の良さを証明した。

 大暴れした投打の主役を、西武渡辺SDは「及川くんは今年の3年生を含めた中でも一番いい。体がもっとできてくれば菊池雄星クラスになれる。万波くんの打球はプロでもあまり見たことのない飛距離。ケタ違いのパワー」と絶賛した。昨夏の甲子園を経験した及川は常々言ってきた。「100回大会には絶対行きたい。でも、行くだけじゃだめ。全国で勝てるチームにならないと」。有言実行の夏は7月14日に幕を開ける。【和田美保】