星陵(静岡)のレオ様がこの夏、ドクターKになる。イラン人の父と日系ブラジル人の母を持つ川島レオナルド(3年)の最大の武器は、140キロ近い直球だ。しかしこれまでは終盤に息切れし、勝利から見放されてきた。課題の体力を強化し、さらに楽天の則本昂大投手(27)を参考に直球にも磨きをかけてきた。プロも注目する右腕が、夏に才能を開花させる。

 投球の際に勢い余って野球帽がグラウンドに落ちる。力強いフォームからキレの良い直球が走る。秋の時点で137キロをマークし、それ以降はスピードガンで計測する機会がないが「140キロは出てると思う」と話す。昨年の春から背番号1をつける川島は「去年の夏は体力の消費が激しく、緊張もあって序盤に4失点した。悔しい思いをしたので今年は結果を残したい」と活躍を誓った。

 春は富士市立に2-3で敗れるも10回2/3を1人で投げ抜いた。秋以降、ポール間走20往復やタイヤを使ったトレーニングで足腰を鍛え、秋に露呈したスタミナ不足を克服した。しかし、結果を残せず、川島は「初戦で負けて何か変えなければ」と考え、空振りが取れる直球の習得を目指した。

 目指したのは則本の球だ。回転数が毎分2500回にもなる昨季パ・リーグの奪三振王の直球は初速と終速の差が小さく、打者からは浮き上がって見える。川島はリリース位置を前に出し、指先の感覚を意識して投球練習を消化してきた。「離すときに押し出すようにしてます。バットの上をボールが通過するような球を投げたい。最近はポップフライで打ち取れたりする」と手応えを感じている。

 昨秋はプロ3球団が川島を視察し、そのうち1球団はこの春にも様子を見に来たという。川島は「評価してもらえるのはうれしいです。最終的にはプロに行きたい」と夢を口にした。夏のマウンドでエースとしての責任を果たし、プロへの道も切り開いていく。【大野祥一】

 ◆川島(かわしま)レオナルド 2000年(平12)10月18日、富士市生まれ。小4から吉原野球SSで競技を始め、中学は吉原一中。家族は両親、妹。182センチ、70キロ。血液型O。