20年ぶり6度目の夏の甲子園を目指す掛川西(静岡)は、エースで3番の川合勇気投手(3年)がキーマンになる。現世代の県高校最速タイ145キロの直球を投じる本格派右腕で、通算10本塁打を超える長打力も備える。その能力には、プロも注目している。同校の2学年上で、エースだった兄隼人(法大2年)も届かなかった聖地へ。投打で川合がチームをけん引する。

 掛川西の川合は今月初旬、豊川(愛知)との練習試合で球速145キロをマークした。湖西のエース水野喬日(もとか=3年)に並ぶ現世代の県高校最速記録だが、冷静さは変わらない。

 「スピードは求めていきたいですが、勝てなきゃ意味がないので。甲子園のため、チームの勝利に貢献していきたいです」

 追求しているのは、「真ん中でも空振りを取れる直球」。巨人の菅野智之(28)を意識し、回転数や球威に磨きをかけている。同校OBで元横浜の鈴木寛樹コーチ(37)も「球速もあり、制球もいい『投手らしい投手』。フォームのバランスも理想的で、あとは勝負強い投球ができるかどうか」と期待を寄せる。

 打撃では、今春までの4番から3番になった。「先制パンチは大事。初回に回ってくるので、勢いをつけたいです」と川合。投打ともに重責を担うが、「考えすぎず、自信を持ってやるだけです」と言った。

 兄隼人は、15年秋の県大会を制したが、その後は右ひじの故障などもあり、最後の夏は2回戦敗退に終わった。「兄は憧れで、ずっと背中を追いかけてきました」と話す川合は、伝統校の重みも強く感じている。「兄のためだけでなく、掛川西の看板を背負っている以上、甲子園は自分たちの使命。支えてくれる人たちに恩返ししたいです」。

 182センチ、84キロ。頼もしすぎる大黒柱は、チームを20年ぶりの夏の甲子園に導くべく、自慢の直球と強打で結果を残す。【鈴木正章】

 ◆川合勇気(かわい・ゆうき)2001年(平13)2月25日、横浜市生まれ。西郷小1年から西郷野球少年団で野球を始める。掛川北中では全国大会出場。掛川西では1年秋からエース。家族は両親と兄2人。右投げ左打ち。血液型A。