小笠(静岡)のエース山本一哉(3年)が、冬季の投球フォーム変更を契機に急成長した。春季大会では、浜松商を相手に4失点で完投勝利。確かな自信もつかみ、さらに進化を遂げた。「チームを勝たせる投球がしたい」。強い決意を胸に、全力で右腕を振る。

 小笠のエース山本が、満を持してマウンドに立つ。初の甲子園を目指して臨む最後の夏。開幕が近づき、言葉に熱がこもった。

 「目標は甲子園です。そのために、エースとしてチームを勝たせる投球をしたいです」

 進化への転機は冬に訪れた。赤堀真也監督(50)のアドバイスを受け、投球フォーム変更に挑戦。試行錯誤を繰り返しながら、痛みを抱えていた腰にも負担の少ないスリークオーター気味の形にたどり着いた。すると、120キロ台だった最速は130キロ台に到達。制球力も増した。「キレも全然、違いました。手応えがありました」。

 春季大会では、その手応えが確信に変わった。先発2試合途中降板の秋季大会から一変。6試合中5試合で完投し、チームを県大会2回戦進出に導いた。「すごく自信になりました。春頃から、ただがむしゃらに投げるのではなく、打者の特徴も見て投げられるようになったと思います」。

 23日に行われた組み合わせ抽選会の結果、1回戦の相手は、強豪の常葉大橘に決まった。いきなりヤマ場を迎えるが、赤堀監督は「力があるチームで厳しい戦いになる。ただ、うちにとっては、相手がどこでも強豪です。今までやってきた自分のピッチングをしてくれればいい」と、山本への信頼を口にした。【前田和哉】

 ◆山本一哉(やまもと・かずや)2000年(平12)12月26日、菊川市生まれ。小3から六郷スポーツ少年団で野球を始め菊川東中でも野球部。右投げ右打ち。家族は祖父母と母。175センチ、72キロ。