日大三島がリベンジ! 昨夏決勝の再戦は、日大三島が、延長11回サヨナラの5-4で藤枝明誠を退けた。9回表2死から2点差を追いつかれたが、1年前、先発するも打席に立てなかった4番原賀凌一塁手(3年)が、激闘に終止符を打った。

 悔し涙を流した雨中の激闘から354日。日大三島ナインの笑顔がはじけた。

 延長11回裏2死二塁。外角直球をとらえた原賀の打球が、右中間を割った。蒔田大地捕手(2年)が二塁から生還。ベンチからナインが一斉に飛び出し、原賀もその輪に加わった。 「決めるのは僕しかいない。絶対打ってやると思っていました」

 甲子園への道を閉ざした藤枝明誠に雪辱は、1年前の自分へのリベンジでもあった。昨夏決勝。原賀は8番左翼で先発したが、エース海野陽日(日大1年)が3回途中で降板して左翼に回ったため、打席に立つことなくベンチに退いた。「あれから、今度は自分がやると、強い気持ちで取り組んできました」。

 新チームでは主軸も打てる左腕エースとして期待されたが、度重なる故障に苦しんだ。今春は左肩痛を発症し、打順も下位に低迷。5月下旬、昨夏の4番、藤井将智さんから電話で「お前が4番を打たないでどうする」と言われ、「やってやろう」と奮起したという。原賀の苦悩を知る川口剛監督(40)は「一番厳しくしてきたので…よくやってくれたと思います」。その後は声を詰まらせ、人目をはばからず号泣した。

 ただ、甲子園を目指す厳しい戦いはこれからも続く。原賀は言った。「目標は甲子園で、あくまで通過点。次も自分が引っ張って勝たせたいです」。21日の3回戦では、第2シード東海大静岡翔洋と対する。気持ちを切り替え、次のヤマ場に臨む。【鈴木正章】

 ◆昨夏決勝VTR(17年7月26日) 創部34年の藤枝明誠が、23-10で日大三島を下し、春夏を通じて初めての甲子園出場を決めた。7回表に雨が強くなり、2時間56分の中断をはさむも、両ナインは集中力を切らさなかった。決勝での23点は、大会史上最多得点。