浦和学院が快勝し、23日に行われる決勝への進出を決めた。

 プロ注目の190センチ右腕・渡辺勇太朗投手(3年)が今夏初先発で好投した。初回こそ制球に苦しんだものの、2回以降は立て直し、4回までは無安打投球。速球が低めに決まり、視察した巨人青木スカウトのスピードガンで最速146キロをマークした。6回4安打無失点でリリーフ陣にマウンドを譲った。

 4回戦の朝霞西戦は不調だったが、浦和学院・森士監督(54)は「渡辺の先発に迷いはなかった」という。前日20日夜に先発を伝えた。渡辺は「(先発は)自分だろうな、って思っていたので、心の準備はしっかりできました」と落ち着いて臨んだ。

 大きな背中が頼もしかった。センターの蛭間拓哉主将(3年)は4回戦の渡辺を見て「いつもと違う。投げ終わった後に体が一塁側に流れている」と感じていた。この日はそれがなかったという。試合前、扇風機の前で涼む渡辺に、蛭間がグータッチ。「おれはバッティングで引っ張るから、お前はピッチングを頼む」と励まし、送り出した。

 埼玉・羽生東中では2年時に県大会優勝。右ひじ痛で3年時にはほとんど投げていないが、それでも「羽生に渡辺あり」と多くの強豪校から誘いがあった。高校入学後も故障に悩まされたが、ようやく素質開花の兆しだ。視察したDeNA吉田スカウト部長兼GM補佐は「マックスの球を見てみたいね」と期待した。あと1勝。他の選手より頭1つ大きい右腕の、突き抜けた球を、甲子園が待っている。