慶応が桐光学園を7-5で破り、08年以来10年ぶり18度目の夏の甲子園切符を手にした。

 春センバツで敗れてから課題だった打撃面を強化した。学生コーチと1人1人が向き合って、それぞれの弱点を修正した。その結果が決勝にも表れた。準々決勝の弥栄戦以外は無失点コールドで勝ち上がってきた桐光学園相手に2本塁打を含む10安打を浴びせ、7点を奪って勝利した。

 昨夏と今春は桐光学園に、昨秋は東海大相模に敗れていた。森林貴彦監督(45)は「この2チームに勝って甲子園に行く」と、チームで決めた「TKO(桐光学園と東海大相模をKOする)」という目標に向かって選手を鼓舞した。

 昨年からの悔しさを胸に戦ってきた下山悠介主将(3年)は「最後の夏は全員でつかみ取った勝利。メンバー外の選手がデータ収集や、打撃投手など最高のサポートをしてくれた」とベンチ外の仲間に感謝した。

 苦しい試合で粘り強く勝つことで、野球の楽しさを知る。上田誠前監督(60)時代から継承する「エンジョイベースボール」の精神で頂点まで登り詰めた。森林監督に「たくましくなった」と言わせた慶応ナイン。「TKO」というリベンジは成功したが、今度は初戦負けしたセンバツのリベンジをするため聖地に乗り込む。【松熊洋介】