大館鳳鳴エース右腕・杉原嵐(2年)が“次世代・輝星”に名乗りを上げた。金足農の吉田輝星(3年)を徹底研究して学んだギアチェンジ投法。能代工に6-0と、メリハリの利いた、わずか87球で5安打完封した。2年連続の県大会切符をつかみ、11年春に21世紀枠で選出されたセンバツ出場権獲得に、挑んでいく。

吉田輝星さんみたいな存在になります-。杉原が、大館鳳鳴だけでなく秋田高校野球界を引っ張る決意表明の投球を披露した。「ランナーを背負ってからのギアの入れ方、気迫。そこが自分の課題だったが、秋になって感覚が分かってきた気がする。球のキレ、フィールディング、けん制、すべてにおいて素晴らしい輝星さんに近づきたい」。終盤の8回になっても連続三振を奪う姿は、吉田の片りんを予感させた。

初回、内野ゴロ3つ。6球で終えると、低めをつく投球で3回まで18球。4回2死から安打を許すと、狙って三振を奪った。2年生エースだった今夏は、県大会準々決勝で明桜に自身のサヨナラ押し出し四球により2-3と惜敗。「ずっと目いっぱいで投げて、後半バテた象徴的な試合。輝星さんの県大会後半や甲子園での投球から、たくさんのことを学ばせていただきました」。新チームの練習で生観戦は出来なかったが、全試合を録画。自宅で映像を何度も見返した。

今春の県大会準々決勝では、吉田と投げ合って4-7と負けた経験もある。「地肌で感じたものと、映像が、自分の参考書みたいな感じです」。斎藤広樹監督(42)も「押し引き、わびさびのようなものは吉田君効果。頼もしくなってきた」と成長をたたえた。

杉原にとっては、吉田率いる金足農の甲子園での躍進は「自分たちも県で優勝すれば全国でも戦える自信をいただけた」。新チームでは「11年以来のセンバツ出場」が目標。「県で勝てなければセンバツに行けないくらいの意識でいます」。まずは県大会制覇で吉田に続く。カナノウ旋風のあとは、大館鳳鳴・杉原が嵐を巻き起こす。【鎌田直秀】