2019年も高校野球を熱くしてくれる選手が数多くいます。今年のドラフト候補選手を紹介。今回は高校投手ビッグ4の陰に隠れた逸材、菰野(三重)・岡林勇希投手(2年)です。

グラブをはめた左手を高々と天に突き出し、全身の力を指先に向かって集中させる。躍動感あふれるフィニッシュ。見るからに運動神経とセンスの固まりだ。身長176センチながら、常時140キロ台の速球を投げ、最速は150キロ。スライダーの切れ味も鋭い。昨秋の東海大会で敗退したためセンバツ出場は難しそうだが、夏の主役に躍り出そうな注目投手だ。

「分かっていても打てない直球で空振りをとりたい。球速にはこだわってきたけど150キロに届いたので、今は質の向上を目指しています。スピードガンでは初速と終速の差を見ている。打者の反応を見て、だいぶ伸びているなと感じるようになった。本当は155キロとか投げたいけど、それだけでは勝てないので。質のいい球で、勝てる投手を目指しています」

2歳上の兄・飛翔は広島の育成選手。1学年先輩の田中法彦は昨秋ドラフトで広島に5位指名された。阪神にFA移籍した西勇輝投手を筆頭に、好投手を輩出する菰野の中でも屈指の能力を誇る。

昨秋、練習試合でみちのくの怪物、大船渡・佐々木と対戦した。打者としても4番を打つ岡林は外角低めの150キロに空振り三振。「今まで見た中で一番速かった。自分はまだまだ負けていると思った」。星稜・奥川ら同世代の好投手から刺激を受け、エネルギーに変えている。【柏原誠】

◆岡林勇希(おかばやし・ゆうき)2002年(平成14)2月22日、三重県松阪市生まれ。徳和小2年時に松阪リトルで野球を始め、久保中では松阪梅村シニアに所属。菰野では1年夏からベンチ入り。高校通算17本塁打。昨年のU18日本代表候補。176センチ、67キロ。右投げ左打ち。