大ケガを乗り越えた苦労人が、4番抜てきで全国デビューを果たす。第91回選抜高校野球大会(甲子園)に出場の盛岡大付(岩手)は25日、21世紀枠で初出場の石岡一(茨城)と対戦する。

24日は兵庫・西宮市内で約2時間の最終調整。先発メンバーは石岡一のエース岩本大地(3年)を想定したシート打撃で、右投手相手に5打席立った。4番に入った岡田光輝外野手(3年)は第5打席で、左翼への特大弾。「速い球にも振り遅れていない。打てる気がしてきた」と最高の予行演習を終えた。

新4番でにらみを利かす。この日は4番岡田から偶数に右打者を置くジグザグ打線を組んだ。「右3人をうまく挟みたい」と話していた関口清治監督(41)も隠すことなく、「今日の打順? そうなると思います」とオーダーを固めたことを示唆。シート打撃では1番峰圭哉内野手、2番佐々木俊輔内野手(ともに3年)、岡田に1発が飛び出し、関口監督は「バットは振れている。やれることはすべてやりました」と仕上がりに自信を持った。

岡田は大正ボーイズ出身(大阪)。3年前の春、ランニング練習中に交通事故に遭い、右足首を複雑骨折。1カ月の入院とリハビリに5カ月を要し、大事な中3シーズンを棒に振った。全国には縁がなかったが、打撃力と遠投110メートルの肩を生かすため、1年冬に捕手から外野手に転向。リストも強く「右方向の方が打球が伸びる」と甲子園特有の浜風に乗せて、アーチにも色気。「いい投手ということは分かっている。でも、打ち崩したい」と4番の使命感で、147キロ右腕に襲いかかる。【中島正好】