<センバツ高校野球:啓新5-3桐蔭学園>◇27日◇1回戦

野球記者歴40年の米谷輝昭記者のコラム「ヨネタニー'S・ファイル」がスタート。試合の明暗を分けたワンプレーに注目します。

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相手が左投手なのに、あえて左打席に入った。啓新のスイッチヒッター、古川剛外野手(3年)だ。左対左は4打数3安打。6回には桐蔭学園を突き放す適時二塁打を放った。「左の方が調子良かったんで、左相手でも左にしたんです」。甲子園初勝利に、笑みがこぼれた。

昨秋の公式戦では左打ち一本に絞りながら、結果が出なかった。打率2割1分9厘。大会後に右打ちを再開した。本来は右利きで、ボーイズに所属した中学2年の秋、右打ちのスイングを修正する練習法の1つとして左のスイングを始めていた。「そしたら、左のスイングの方がきれいといわれて。次の日の練習試合で3打数2安打しました」。

今大会ベンチ入り登録選手の中、左打ち選手(両打ち含む)は236人を数える。全体の41%。30年前、平成最初となるセンバツ大会(61回=1989年)では、480人中115人、24%だった。30年を経て、大幅に増えている。

古川がこう話した。「スイッチだと右がダメでも左があると思えるんで。次ですか。縁起がいいんで、左で打ちます」。また笑顔になった。【米谷輝昭】