東海大菅生はエース左腕の中村晃太朗(3年)が、八王子を散発3安打で完封した。制球が持ち味の中村にしては、9回を投げて6四球と制球が乱れていたが、連打を許さず崩れそうで崩れない粘り強さを見せた。

中村は「まずまずでした。今日は変化球が良かったです。カーブ、スライダー、フォーク、チェンジアップです」と、明るい表情。軟投派らしく、変化球でカウントをそろえ、変化球の中で緩急を駆使して11三振を奪った。

リードした小山翔暉(3年)は強打、俊足を誇る大型捕手だが、この日は四球を連発する中村をリード面で支えた。「なるべく声をかけて落ち着かせようと心掛けました」。3点リードの8回2死一、二塁では、内野を集めて「みんなで1個のアウトを取ろう」と声掛けを忘れなかった。リードはしていたが、攻撃面で東海大菅生の打撃力を発揮できていなかったことから、チームには焦りがあった。「みんな自分たちの攻撃ができなかったから焦りがありました。だから、落ち着いてもう1度しっかり守ろうという気持ちでした」。

中村-小山のバッテリーが最後まで失点を許さず、3点リードを守りきった。試合後の若林弘泰監督(52)は「はがゆい試合でした。特に打つ方ですね。もっと自分の狙い球に対して思い切ってスイングすればいいんですが」と、やや苦い表情。バッテリーに対しては「中村は崩れそうで崩れない。四球が多すぎましたね」と、総括した。

東海大菅生は昨秋の都大会準優勝で、今春の選抜出場の可能性があったが、選出されなかった。この日が、夏へ向けての出直しの公式戦初戦だった。