センバツプレーバック最終回は、担当記者たちの印象に残る「言葉」です。休養日を含め12日間にわたる大会中、勝者、または敗者となった選手、監督から発せられた言葉には、当事者だから言える力強さや真実味が詰まっていました。紙面には掲載しきれなかった言葉の数々を紹介します。

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東邦・森田泰弘監督(60)と石川昂弥投手(3年)「体調はどうだ」「ばっちりです」「じゃあ優勝しようか」「はい」(監督が明かした主将との決勝直前の会話。深い信頼関係が伝わってきた=柏原誠)

東邦・石川昂弥投手(3年)「…ないです!」(決勝戦前に「優勝以外で甲子園でやり残したことは?」の問いに10秒間考え、笑って答えてくれた。その決勝で完封&2本塁打とは恐れ入る=金子真仁)

習志野・竹縄俊希外野手(3年)「甲子園は今までと違う、何か感じたことのない雰囲気の場所。練習でもなかなかできないプレーができちゃったり。不思議な場所です」(3月31日市和歌山との準々決勝前。憧れの舞台で勝ち進む中、しみじみ話した=保坂淑子)

星稜・山瀬慎之助捕手(3年)「奥川はすぐにプロに行くでしょうし(夏で)組むのが最後の可能性もある。奥川のおかげでここまで来た。必ず2人でバッテリーを組んで全国制覇したい」(3月28日の2回戦で習志野に敗れて。小学校からのコンビ解消が近づく寂しさと最後の夏への覚悟がにじんだ=柏原誠)

横浜・及川雅貴投手(3年)「一からやり直しです」(大会屈指の左腕と期待されるも、3月24日明豊との1回戦で大敗。背筋を伸ばし、厳しい質問にも誠実に答え続けた=金子真仁)

石岡一・岩本大地投手(3年)「かわす変化球だったら、結果は変わっていたかも」(3月25日盛岡大付との1回戦。9回2死、変化球2つで追い込むも最後に直球を同点打とされ延長サヨナラ負け。もう1度、投げるなら? への答えに無念を感じた=古川真弥)

熊本西・横手文彦監督(43)「平成最後に最高の舞台で最高の相手と戦える。エラーしてもいい。甲子園でエラーできるのを喜べと言いたい」(3月22日の監督対談。ナインへかける言葉を聞かれ、はつらつと答えた=浦田由紀夫)

市和歌山・山野雄也内野手(3年)「それは知っていますが、習志野がサイン盗みをしたと決まったわけじゃありません。僕は堂々と野球で勝負したい。それだけです」(3月31日習志野との準々決勝前、騒動について聞かれ=井上真)

習志野・和田泰征内野手(2年)「僕たちはサイン盗みなんかやっていません。(小林)監督からは『試合に集中しなさい。そこへの対処は私がやる』と言われました。僕たちは何かを言われるようなことはやっていないので、気持ちを切り替えて試合に臨みたい。こんな騒ぎになるとは思っていませんでした」(3月31日市和歌山戦との準々決勝前に=井上真)

富岡西・小川浩監督(58)「選手たちが何をイメージしてやったのか分からない。聞いてみないと(笑い)」(3月26日東邦との1回戦に惜敗。6回に成功したエンドランの意図を聞かれ、掲げる「ノーサイン野球」を象徴するように答えた=奥田隼人)

札幌大谷・船尾隆広監督(47)「打たれるならあの子かと。歩かせてもいいと伝令を送っていれば」(3月29日明豊との2回戦。先発太田が4番野辺に先制の右中間三塁打を浴び決勝点に。敗因を問われ、相手4番をマークしていたことを即答=永野高輔)

広陵・中井哲之監督(56)「ちゃんと言っとけよ、中井先生に買ってもらいましたって」(3月26日八戸学院光星との1回戦は、監督が贈ったマウスピースを付けた河野が完封。照れくさそうに笑う河野と、まるで親子のようだった=望月千草)

米子東・土岐尚史外野手(2年)「自分は野球が大好きなので伝えていきたい」(3月24日札幌大谷との1回戦で敗退。将来の夢は「野球人口拡大に携わる仕事」。彼の手から多くの選手が生まれ、甲子園に立つ未来を願う=望月千草)