星稜(石川)のドラフト1位候補、奥川恭伸投手(3年)は2日続けて登板がなかった。星稜はエース以外の投手がまたも好投し、決勝進出を決めた。

奥川は初戦の砺波工(富山)戦で6回無失点。中1日のこの日は、リリーフで待機した。先発寺西成騎(2年)から2番手の寺沢孝多(3年)につなぐところまでは予定通り。展開によってそのあとに奥川が登板するプランだった。

「準備不足が一番ダメなので、準備に気をつけました。寺沢が昨日は準備不足を指摘されたけど、今日は最初の回からしっかり投げていて、準備が100点だった。自分もしっかり準備しないとと思いました。体への負担はないし、気持ちも入っていた。いつ投げても大丈夫な状態でした」

3回に最初のブルペン入り。5回に2度目でしっかり肩を作った。7回の3度目のブルペンではいつでも登板できるくらいまで力を込めた。富山アルペンスタジアムのブルペンはフィールド内。試合の様子を見ながら、力を込めたり、抜いたりと頭をめぐらせ、試合終了までブルペン内で過ごした。ベンチからの指示は一切なく、全て自分で考えて調整を繰り返した。

4日の決勝に勝てば、春は4年連続の北信越制覇。秋も含めると昨春から3連覇になる。エースが中2日で先発する可能性も十分だ。最後の夏まで残り1カ月。4季連続甲子園に向け、優勝ではずみをつけたい大会でもある。

「大会だし、トーナメントなので、相手がどんな攻め方をしてくるか、どんな展開になるか分からない。どういう場面になっても動揺せず、冷静でいられるようにしたい。今日は難しいゲームを勝ち切れたので、明日も勝ち切りたいです。優勝はかかっているけど、いい緊張感で、気負わず、楽しんで自分のやれることをやりたい」。

センバツ2回戦では相手のサイン盗みを疑い、逆に自分たちが平常心を見失って、甲子園を去った。実力不足とともに「精神的なもろさがこのチームの課題」とナインは口をそろえる。一連の騒動で林和成監督(43)が4月上旬から指導禁止になって2カ月。林監督は北信越大会後に復帰するが、選手の自立を促す期間にもなった。逆境を味わって、どれだけ成長できたか。奥川が「勝ち切る」と春の北信越優勝にこだわる理由もそこにある。