日本文理は敦賀気比(福井)に3-8で負け、14年春以来5年ぶりの決勝進出を逃した。3回までに6失点。0-7で迎えた7回はコールド負けのピンチを背負いながら、長短4安打を集中して3点を奪った。お家芸の終盤の粘りを見せたが、反撃もここまで。序盤の大量失点が最後まで響いた。

   ◇   ◇   ◇

立ち上がりの3回までに背負い込んだ大量6点の“負債”を、最後まで返済できなかった。先発のエース池田が2回2/3を投げて6失点。「低めの厳しいボールはカットしてくる。1番から9番まで切れ目のない打線は気を抜くところがない。いっぱい、いっぱいになってしまった」と被安打7、3四死球などでマウンドを下りた。鈴木崇監督(38)は「前半で6失点になってきつかった」と話した。

もっとも指揮官のコメントは試合終了後のもの。ゲーム中は誰もが勝利への思いを捨てなかった。3、4、5回には併殺でチャンスをつぶし、攻撃のリズムに乗れなかったが、粘りを見せた。0-7で迎えた7回。無得点に終われば、7回コールド負けが決まる土壇場で屈辱的な敗戦を回避した。長短4安打を集中して3得点だ。この回に三塁へのバントヒットを決めた主将の長坂陽遊撃手(3年)は「コールド負けしたくないという気持ちより、勝ちたいという思いがあった」とコールド回避より、逆転勝利にしか視線を向けていなかった。

日本文理はこの日の北信越の準決勝敗退から夏に挑む。県大会優勝は当然のこと。甲子園でも勝つための課題を見つけた。「県を制覇しても、こういう相手がズラッといることを目の前にしたことは何よりの糧になる」と鈴木監督。長坂主将は「相手打線は2ストライクに追い込まれても強く振ってくる。崩されても打球が強い。夏までに自分たちも身につけたい」と言った。

準決勝のスタメンには2年生が4人名を連ねた。長坂主将は夏に向けて下級生と3年生のパワーの結集をもくろむ。「3年生は夏へ気持ちが入る。2年生にはまだ余裕がある。その余裕を借りて、チームの力として成り立たせたい」。夏の県大会開幕は7月8日。約1カ月で日本文理は本物の強さを身につける。【涌井幹雄】

▽7回の攻撃時に三塁手の長谷川優也(2年)は投球練習を始めた。7回で終わらせないというチームの意思の表れ。5回に続く投球練習で、8回から4人目の投手としてマウンドに上がり、2回1失点。4番打者としての打席では2安打を放った。投打にフル回転だったが「こういう試合を夏には絶対、やってはいけない。今日(3日)から練習したい」と夏に向け猛練習に取り組む覚悟だった。