鈴木大地スポーツ庁長官(52)が高校野球を語るインタビュー。「選手ファースト」の視点からさまざまな提言をしてきた。

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ある高校の指導者が「鈴木さんは野球を知らないのでしょう」と冷めた口調で話していた。練習は1日2時間、週休2日と定めるスポーツ庁のガイドラインについてだ。同校は部員が軽く100人を超える。大学の野球部並みだ。ただ、講義を選ぶことで練習時間の調整がつく大学と異なり、高校の部活動は放課後だけ。大学のような広い施設もない。ガイドラインに従うつもりはなさそうだが、そもそも1日2時間では話にならない、というのが本音のようだった。

スポーツ庁と指導現場には隔たりがある。とはいえ、少子化と猛暑が止まらず、何とかせねばという思いは同じはず。鈴木長官の提言を「非現実的」と切り捨てるのは、たやすい。本当に、そうだろうか? プロ野球ユース構想は12球団が本気になれば現実味を帯びるだろうし、過去に楽天三木谷オーナーが言及したこともある。センバツ甲子園の都市対抗方式も、既に連合や派遣の制度はあるわけで、捉え方次第だろう。少なくとも、高校野球を変えたいという長官の熱意は、取材をしていて感じた。

プロアマ統括組織については、プロの日本野球機構(NPB)とアマの全日本野球協会(BFJ)の間に日本野球協議会が存在する。日本サッカー協会(JFA)のようにはなっていないが、発展させる土台となるかも知れない。

何かを変える時、言い出しっぺを笑う人は多い。じゃあ、あなたなら、どうするんですか? と聞きたい。まずは議論を始めること。提言が、きっかけとなれば面白い。【アマチュア野球担当=古川真弥】