「帯広の森」で帯広北の森寿蓮(じゅれん)投手(3年)が雄たけびを上げた。1点リードの11回2死。158球目の内角直球で、最後の打者を二ゴロで仕留めた。強豪・白樺学園を撃破すると、右拳を突き上げた。「激戦ブロックを勝ち抜けてうれしい」。ナインの気持ちを代弁した。

身長21センチ差の凸凹バッテリーが躍動した。2戦23得点の相手強力打線を5安打に抑え込んだ。181センチの森を160センチの2年生仲村光太郎捕手が巧みにリードした。「相手は強く振ってくる」と年下女房。チェンジアップとスライダーの緩い球でカウントを稼ぐ作戦が成功した。

学年は違ってもグラウンドでは“タメ口”。仲村はピンチでマウンドに集まると、「失点しても気にするな」と先輩を励まし、最後はグータッチを求める。先頭打者の11回には、中前打で出塁し、決勝のホームを踏んだ。後輩の活躍に森は「最高の捕手」とニッコリ。そこには年齢の垣根を越えたつながりがあった。

田沢圭司監督(40)は男泣き。04年に部長として就任して以来、夏は1度も地区突破できず「俺が持ってないのかな」と思い悩んだ。昨秋に監督となり、念願の北大会。4番でエースの森は16年ぶりの舞台に向けて「チームの柱として無失点に抑えたい」。勢いを持って旭川スタルヒンに乗り込む。【西塚祐司】