13年連続の甲子園出場に挑む聖光学院(福島)が7日、桑折町の同校グラウンドで壮行試合を行い、第101回全国高校野球選手権福島大会(10日開幕、いわきグリーンスタジアムほか)に向けて、結束を固めた。

午前はメンバー外の3年生を中心に仲間との絆を再確認。午後は2年生と戦った主力組が8回裏に一挙5得点を挙げて逆転勝ちし、苦境を乗り越える貴重な経験も得た。今春は県北支部で福島商に敗れて県内の連勝が49で止まり、県2回戦でも東日本国際大昌平に完敗。「打倒聖光」で向かってくるライバル校への精神的な強さは確実に増した。

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史上最高の壮行試合が、夏13連覇の起爆剤となりそうだ。主力組が、猛然と襲いかかる2年生の勢いに崖っぷちの危機。3-7の8回裏、背番号2ケタが有力な西牧航内野手(3年)の午前に続く2戦連続弾で火がついた。長短5安打で一挙逆転。斎藤智也監督(56)は「今まで一番良い形になったんじゃない。やっと無になれた」と大きな手応え。試合後は「今日の経験はデカイ。夏は必ず試合終盤に苦しい時が来る。何度も経験しておけば、同じことが出来ちゃうんだなあ」と感極まる選手たちに言い聞かせた。

現3年生は全国舞台でしか負けていない世代だった。1年秋から主力として活躍の小室智希内野手(3年)は「甲子園でしか相手の校歌を聞いたことがなかったのに、秋は東北大会で花巻東(岩手)に負け、春も県内で負け。練習を1カ月やっても技術は変わらないので、とにかく会話してきました」。春以降の約半月間は、グラウンドに出ずにミーティングだけを繰り返す日々。控え組との意見交換も繰り返し、指摘し合える環境を構築した。3年生41人での最後の紅白戦に涙を流しながら声をからし、一体感を強さに変えた。

今春に右背筋肉離れで離脱していたエース左腕・須藤翔(3年)も、最後の2回を無失点に抑えて復調した。「先輩たちが作った連覇の記録にすがっていた。不安、焦り、怖さはあるが、それを乗り越えるために死ぬ気で泥臭くやってきた。応援してくれる方すべての思いを背負ってマウンドに立ちます」。初戦は13日に二本松工との2回戦。巻き返しの臨戦態勢は整った。【鎌田直秀】

▽聖光学院・清水正義主将(3年=激励会で父母から千羽鶴を贈られ)「自分たちを成長させてくれた多くの方につらい思いをさせてしまってきた。力はないが、1つになれば力が出る。どの全国の強豪チームより一番長い夏にしたい」