ポーカーフェースで投げ続けた新潟西・松島の表情が一気に緩んだ。9回裏、新発田に1点を返された。それでも「気持ちを切り替えた」と最後の打者を中飛に打ち取る。同時にガッツポーズが飛び出した。

7安打2失点。147球の熱投で3者凡退は4回裏の1度だけ。楽な場面はなかった。2回裏には1点を先制され、なおも2死満塁のピンチ。それでも「チームメートには4、5点取られると思われている。1点なら問題ない」。落ち着いて最少失点で切り抜けた。

三富将弘監督(54)は「松島には『新発田戦にすべてをかけろ』と集中させた」と言う。1回戦の新潟東戦はベンチウオーマー。試合に飢えていた。「授業中も新発田戦のシミュレーションをしていた」というほど。その集中力を投球だけでなく、打撃でも発揮した。8回表に左前適時打でチーム4点目をたたき出すなど、4打数2安打1打点。「お前が投げて、打って勝て」という三富監督の期待に応えた。

昨夏の準優勝校・新発田とは昨秋の県大会2回戦で対戦し、0-3で敗れていた。昨夏、新潟西は初戦敗退。雪辱と、先輩たちの思いも背負うこの夏。難関を突破し、松島は「勝ててうれしい」と素直に喜んだ。    【斎藤慎一郎】