大垣西は昨夏のリベンジまであと1歩に迫ったが、逃げ切れなかった。

2回に松岡勇作外野手(2年)の3点二塁打で先制。1点差とされた直後の4回にも4安打で2点を奪い、試合を優位に進めた。

先発の長身右腕、小出瑞稀投手(3年)が4回2失点と踏ん張り、5回から背番号1のアンダースロー臼井悠真投手(3年)がマウンドに上がった。

臼井の自己最速は109キロ。最も遅い変化球で64キロという超技巧派は緩急をつけて必死に強打者たちの芯を外しにかかった。ただ、この日はめずらしく制球が乱れた。

「本調子とはほど遠い。気持ちは弱くない選手だが、リードしていたというのもあったかも」と小牧憲充監督(52)。8回には2四球から同点にされた。最後9回は相手の4番に打たれ、ついに1点勝ち越された。右腕は「力負けです」と残念がった。

県岐阜商は昨夏も同じ初戦で当たり、コールド負けしていた因縁の相手だ。ナインは全員、女子マネジャー4人が作った「挑」の字入りのお守りをポケットにしのばせていた。

同点で迎えた9回の守備。2死一、三塁の絶体絶命ピンチで、マウンドに集まった。示し合わせたように、ほとんどの選手の手が右のポケット内に伸びた。「誰が言ったわけでもなく、自然にそうなりました。緊張したときやエラーしたあととかに触ります」と臼井。選手、スタッフ分45個も作ったお守りの効果は残念ながらおよばなかった。

3年生マネジャーの後藤みなみさんと西脇彩乃さんは「最後の夏に、挑戦してほしい気持ちで『挑』にしました。昨年の先輩のかたきを取ろうと、ここまでやってくれて感動しました。感謝でいっぱいです」と笑顔で話した。