北北海道大会は、旭川龍谷が背番号「17」の村阪颯太(3年)が、4回2死満塁で決勝のバント安打を放ち、初戦勝利に導いた。

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村阪はトレードマークのメガネがずれるのも気にせずに懸命に足を伸ばした。0-0の4回2死満塁。「練習から打撃の調子が良くない。持ち味の足を使った方がいいかも」。即座の判断で三塁線に絶妙なセーフティーバントを転がした。処理した投手の一塁送球が乱れる間に2点を先制。勝利へのキーマンになった。

背番号は17。本来の正左翼手は河野良太主将(3年)だが、1日に左膝手術した影響で欠場した。「(1回戦は)出られそうにないから頼むな」。大会前には、言葉を掛けられていた。村阪は「代わりに出ている分、何とかしないと主将に怒られる」。復帰できるようになるまで、勝ち上がる覚悟を決めている。

文武両道、勉強も野球もこつこつやる性格。進学コースに通いながら、同じ下宿に暮らす河野に勉強を教えることもある。趣味は読書。実業家の堀江貴文氏の書籍からは、自ら考え動く、実行力を学んだ。この日のバントは「自分で考えてやりました」。小学5年生から愛用するメガネがキラリと光った。満塁でのノーサインの奇策に高橋健監督(47)も「1本やるとは思っていたが、あの場面でやるとは。しぶいね」とうなった。

次戦は昨夏準々決勝で1-13のコールド負けしたクラークが相手。村阪は「試合では試合の、ベンチではベンチの役割がある。勝つためにやるだけです」。主将を欠いたまま、夏は終われない。【浅水友輝】

▽欠場した旭川龍谷の河野主将 一緒に頑張ってきた村阪の活躍はうれしいけど、個人的には代打の準備をしていたので出られなくて悔しい。