初の甲子園出場を狙う昌平が初戦に続く2桁得点で5回コールド勝ちした。

初回に2点を先制すると2回には打者一巡の猛攻で9点でを挙げ、一気に試合を決めた。3番吉野創士外野手は1年生ながら2本のホームランを放ち、4打点の活躍。「上出来です」と初々しく振り返った。

4番渡辺翔大外野手(2年)も負けていない。2回無死一、三塁で吉野創が3点左本塁打を放った直後、本塁打を右翼場外にかっ飛ばした。「打った瞬間行ったと思いました」と語る完璧な1発。「ボール、ボールと来ていたので、ストレートで来ると。強くたたこうと思いました」。狙い通りの一打に満足そうな表情だ。

社会人野球シダックス時代野村克也氏の教えを受けた黒坂洋介監督(44)が、チームに「野村イズム」を注入する。渡辺はその1つ、何のボールをどのように打つのかという「2段構え」を実践した。

二松学舎大付(東京)で野球経験のある紀之さん(48)の影響で小学1年から野球を始めた。「今のバッティングは父と作り上げました」と語る。もともと右打ちだったが、左打ちだった父の影響で左に転向。家にネットを買い、毎晩ティーバッティングを行った。紀之さんは「負けず嫌いで努力家ですね。名前の通りもっと大きく羽ばたいて欲しい」という。自然と長打力が身につき、昌平では1年から4番を任されている。「オーラがすごい」と入学の決め手となった黒坂監督も「長打力はもともとあった。タイミングの取り方は伝えている。感覚をつかみつつあるのではないか」と進化を語る。

2年にして早くも高校通算31本目。今大会でも早くも4四球と勝負を避けられることも多くなった。プロ注目のエース米山魁斗(3年)だけじゃない。来年のドラフト候補に名乗りを上げた。【佐藤成】