<高校野球広島大会:武田9-0神辺>◇17日◇2回戦◇鶴岡一人記念球場

武田の最速152キロ右腕、谷岡楓太投手(3年)が、ドタバタのち3者連続三振で初戦を突破した。神辺戦の7回に9点リードで登板。「夏の県大会の雰囲気が久しぶりで力んでいました」。2四死球で無死一、二塁のピンチ。四球の前には暴投もあったが、ここからが真骨頂だ。「(走者を)出してしまったので全部三振に取ろうと」。ここから打者3人に対して16球中15球を140キロ台中盤の直球で勝負し、全て空振り三振。有言実行で7回コールド勝ちに導いた。

武田は進学校のため、練習時間はたったの50分間。「最初は短くて不安でしたが今は倒れるくらいやります」。個々人がトレーナーから指定される練習に取り組み、谷岡は「柔軟性」を重視。中学時代は控え投手で入学時は最速125キロだったが、股割りで体を柔らかくし可動域を広げた。昨秋に151キロ、今年6月に152キロをマークと、右肩上がりで成長している。

ライバルはテレビで見た大船渡(岩手)・佐々木朗希投手だ。最速163キロには「悔しかった。でも、変化球で勝てれば」という。「スラッター」など多彩な変化球も谷岡の武器の1つだ。この日は楽天など5球団のスカウトが視察する中、最速は148キロを計測した。今夏の目標の1つは甲子園出場。「広陵を倒さないと甲子園は無理。順当に勝ち上がれば決勝で当たるので倒したい」。そして、もう1つが「出せると思う」という155キロ。「安芸の剛腕」が、ここからニューヒーローに名乗り出る。【望月千草】

▽広島白武スカウト部長 真っすぐいい。スピードが出ていたし、変化球も良い。体はまだ成長段階かな。

▽DeNA安部スカウト 腕を振って投げらるし、ここまで馬力で投げている子はなかなかいないかな。