昨夏の南大阪代表、近大付が頼れる男の1発で熱戦に終止符を打った。

4-4の7回。1死満塁で打席には主砲で4番の朝原成貴捕手(3年)。目の前で3番の辰野孝汰内野手(3年)が勝負を避けられた。「辰野がずっと当たっていたので、自分で勝負してくると想定していた。ヒットでいい、アウトでもいいやというくらいの気持ちで、4番としてスイングして帰ろうと思った」

とらえた打球は左中間の芝生席に届く満塁アーチ。大きすぎる1発に少し笑みを浮かべて生還した。

4番で、捕手で、主将。マスク越しに強打の相手に神経をすり減らし、打撃は二の次になりがちだ。

「(かつて)自分のことばっかり考えていて、怒られました。一番はチームのことを考えないといけない。今は打撃よりもとにかくチームが勝つようにと思っている。ミスしても打てなくても、勝つのが一番」とチームプレーに徹する。それでも自分のバットで勝ち取った勝利は格別だった。

昨夏の南大阪代表だが、1回戦で前橋育英(群馬)に0-2で敗れた。一方、北大阪代表の大阪桐蔭は頂点に輝いた。「先輩たちはすごかったけど、南大阪だから出られたとは思われたくない。自分らで、大阪代表として甲子園に出たい」と目をギラつかせる。

甲子園ではベンチ外だったが、ボールボーイでグラウンドレベルにいた。朝原は「大げさかもしれないけど(守っている)9人が光って見えました」。今度は背番号をつけてグラウンドに立つつもりだ。