<高校野球栃木大会:作新学院7-4宇都宮商>◇27日◇準決勝◇宇都宮清原球場

「決勝で会おうぜ。恥かくなよ」。宇都宮商(栃木)の高根沢元投手(3年)は、反対の山に入った父である文星芸大付の高根沢力監督(45)に抽選が決まった夜言い放った。

「尊敬する父を倒したかった」。息子は自ら進路を決断し県立校の背番号「1」で甲子園を目指した。今春、息子があと1つの場面で負け、実現しなかった“親子対決”。今度こそは…。しかし、またしてもあと1つのところで切符を逃してしまった。

前日に「あと1勝だね」と父と意気込んだ。息子はこの日、県8連覇中の作新学院に対し3回2/3を投げ4失点。高校入学時より球速が19キロ伸び139キロに急成長したエースは「自信があった真っすぐもはじき返された。(作新学院打線の強さは)いい意味で予想どおりでした」と脱帽した。

「父に勝つことが最大の恩返しにもなる」。胸にそんなことを思い戦い抜いた。父は1試合目で勝利したが、約束を果たせなかった。「わりぃと言いたいです」と笑顔で答え、その表情からわかるように「悔いはないです」と言い切った。28日は父の甲子園がかかる決勝となるが「自分を倒した作新なので、今度は父に倒してもらいたい」。そうエールを送った。【佐藤勝亮】