第101回全国高校野球選手権(8月6日開幕、甲子園)北北海道代表の旭川大高が2日、兵庫・尼崎市内で関西入り後初の実戦練習を行った。

1番佐藤一伎(いつき)三塁手(3年)が、1本塁打を含む2安打3打点と好調をアピール。北大会では主力9人で最低の打率1割5分8厘と苦しんだチャンスメーカーが、端場雅治監督(50)のアドバイスを受け、本番前に調子を上げてきた。3日、大阪市内で組み合わせ抽選が行われる。

   ◇   ◇   ◇   

切り込み隊長にスイッチが入った。佐藤は1イニング目の先頭打者として、いきなり左中間二塁打を放ち出塁。4番脇田悠牙(3年)の中前適時打で生還すると、2イニング目の第2打席では2死一、二塁から左中間スタンドに入る3ランを放ち、打線を勢いづけた。豪快な100メートル弾に「本塁打は狙ったわけではないが、どんな形でも出塁してチャンスをつくれたら」と冷静に振り返った。

北大会の打撃成績は主力メンバー最低の1割5分8厘。不調な中でも6試合に出場し、5四死球にチームトップの6盗塁と、粘って出塁してかき回し、2年連続甲子園切符に貢献した。湿っていたバットに関しては、1日のフリー打撃を見た端場監督が「体重移動のときに体が伸び上がっている」と指摘。フォームの崩れを修正し、一夜で調子を上げてきた。同監督も「四球も選べるし足もある。打撃も良くなってくれば、チームとして、さらにいい形ができる」と期待した。

チーム内では真っ黒に日焼けした風貌から“ギャル”と呼ばれている。だが「別にギャルが好きなわけではないし、性格も前に出て目立とうというタイプでもない」と言う。打席に立ったときだけは、リードオフマンとして、ファウルで粘り、四球を選び、出塁しては走る。相手投手にとっては、極めて小うるさい選手として躍動する。

同じ1番打者として気になる存在がいる。八戸学院光星(青森)の“「坂本2世」と注目される武岡龍世遊撃手(3年)だ。中学3年の夏、全日本中学選手権1回戦で、佐藤の旭川大雪ボーイズと武岡のヤング徳島ホークスが対戦し、延長8回タイブレークの末、佐藤のチームが勝利した。「当時からすごい打撃だった。自分も負けていられない」。青森大会5割8分8厘と絶好調のライバルに刺激を受け、ここからさらにギアを上げていく。【永野高輔】