宇和島東(愛媛)にとって、11年ぶりの夏の甲子園1勝はならなかった。7番兵頭仁(3年)が今夏チーム初の本塁打を放つなど13安打したが、得点は3点。1番阿部颯稀主将(3年)、3番森田武尊(3年)ら上位打線がブレーキとなり、チームで12三振を奪われるなど、宇部鴻城の右腕岡田佑斗(3年)を打ち崩せなかった。

それでも、長瀧剛監督(40)は、敗戦よりも9年ぶりの“夏”で得た経験を重視した。4月に赴任、指揮を執るようになってまだ5カ月弱。「素直に悔しい思いはありますが、選手は思った以上にノビノビ、楽しく、すばらしい時間を過ごしてくれました。今回は甲子園に出ることが目標でした。次は勝つための意識を変えていかないといけません」。阿部主将は「僕たちは“力のないチーム”と言われてきて、悔しかったですが、明るく笑顔でやってきた。今日もみんなで“暗い顔をしちゃダメ”と声を掛け合ってやりました」という。

この日、投げた舩田清志、和田真虎の両右腕は2年生。新チームにつながる経験は多い。故上甲正典監督が率いて“牛鬼打線”と呼ばれた強打の伝統は、これから取り戻す。