敦賀気比(福井)が、仙台育英(宮城)に逆転負けを喫し、5年ぶりのベスト8進出とはならなかた。

1回表にアクシデントに見舞われた。13日の国学院久我山(西東京)戦でサイクル安打を達成した3番・杉田翔太郎内野手(3年)が頭部に死球を受け、グラウンドに倒れ込み、救急車で兵庫県西宮市内の病院に運ばれた。大会本部は「頭部のCT検査などを受け異常なしと診断された」と発表し、杉田は試合途中にベンチに戻って元気な姿を見せた。

頼れる中軸を失った敦賀気比は、3回2死一、二塁で連続適時打が飛び出し、3点を先制する。しかし、6回に逆転を許した後は無得点。9回にはこの日2安打の4番・木下元秀外野手(3年)が、1死一、三塁の好機で左飛に倒れ「4番として実力不足」と肩を落とした。

木下と杉田は寮で同部屋。お笑い芸人「笑い飯」のようなボケと突っ込みの掛け合いが得意なほど仲良し。「杉田にもう1度プレーさせたい」。強い思いで打席に立ったが、叶わなかった。試合後のロッカールームでは、杉田と握手と抱擁を交わした。「お互い次のステージで頑張ろう。ありがとう」と杉田は木下にほほえみ、木下は「勝てなくて申し訳ない」と、涙をこらえきれなかった。

木下はプロ志望届の提出を明言。敗戦の悔しさをプロの舞台で晴らす。【只松憲】