秋田商が9-1の7回コールドで、今夏2回戦で敗れた能代に雪辱した。今夏も登板したエース右腕・石川陸斗(2年)が3安打10奪三振1失点(自責0)で無四球完投。打撃でも5回裏に左越え3ランを放つなど、投打で準決勝進出を導いた。明桜、由利、能代松陽も勝って4強が出そろい、上位3校の東北大会(10月11日開幕、岩手)出場権獲得に王手をかけた。

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最後は4者連続奪三振で締めた。石川はコーナーを丹念につき、勝負球は切れ味鋭いスライダー。初回に2安打に失策が絡んで失点したが「初回の最後に三振を奪えてからは心の余裕もできてきた」と、以降は1安打の完璧な内容。相手4番も3打数無安打2三振に封じ「最高です。能代に相手が決まってリベンジしたかった。負けたくない気持ちをマウンドで出せました」。気迫あふれる投球を披露し、拳を握った。

登板時以外は外野手で出場する打者としても、存在感は絶大。5回1死一、二塁の好機に、高め直球を左翼スタンドに運んだ。太田直監督(40)から引っ張りの指示を受け、仲間からは「力を抜け~」の声。「真っすぐは好きなので狙っていた。みんなが打たせてくれました」と感謝した。

今秋は1日の中央地区大会初戦から17日間で7試合の過密日程。自身も6試合で先発し、疲労の中でも好投してきた。リラックス法は自宅でのアニメ「クレヨンしんちゃん」動画鑑賞。主人公の野原しんのすけからの笑いはもちろんだが、最大の癒やしキャラクターは父ひろし。「大好きなんです。休みで疲れていても、子どもたちと遊んでくれる良いお父さん。自分もみんなに愛される存在になるためには、エースとしてセンバツ出場に向けて勝てる投手になることが大事」。同じ“秋田県出身”で、身長も180センチと一緒の理想像を追い求める。

21日の準決勝では中央地区2回戦で0-7と完敗した明桜と再戦する。先発して初回に満塁弾を浴びるなど3回0/34失点は「今までで一番悔しい試合」。2年連続の東北大会出場まで1勝に迫り、「投球の変化をつけて、ロースコアで明桜にもリベンジしたい」。オラ、甲子園行くんだゾ!【鎌田直秀】