17日のプロ野球ドラフト会議まで残り2週間となった3日、プロ野球志望届の受け付けが締め切られた。高校生は139人、大学生は107人がこの日までに公示された。2日に志望届が受理された今ドラフトの目玉、大船渡(岩手)の最速163キロ右腕・佐々木朗希投手(3年)のもとには、この日から12球団関係者の「大船渡詣で」がスタート。ヤクルトとロッテの2球団が佐々木と初対面した。

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前夜にプロ希望を表明したばかりの佐々木が、さっそく12球団関係者と言葉を交わした。面談解禁の3日、一番乗りはヤクルト斉藤スカウト。「30分前に入るのはヤクルトの気合です」と予約時間に余裕をもって、校門をくぐった。

スカウト会議は4日に行われる予定で、チームの1位指名方針はまだ決まっていない。ただ斉藤スカウトは「チームが今年最下位だったので、面談くらい一番乗りにしたいと。その旨は、佐々木君が志望届を出す前から学校側に伝えていました」と担当としての誠意を早くから示していた。

小雨の大船渡。グラウンド横の部室で佐々木と母陽子さん、国保陽平監督と吉田小百合部長の4人に迎えられた。「ヤクルト球団が交渉権を獲得した場合の育成方針や球団施設などを中心にお話ししました」と斉藤スカウト。佐々木からは室内練習場の使用時間などへの質問があった。

ずばぬけた素質に「日本の宝、世界の宝になっていく選手」と感じ、ネット裏からの視察を続けてきた。初めて言葉を交わし「けっこう熱心に聞いてくれて、うなずいてくれました」と印象を口にした。ヤクルトには大船渡市出身のOBでは志田宗大氏(現巨人スコアラー)がいた。50分間の面談では、そんな地元ネタでも話が弾んだ。

続いたのはロッテ。担当の柳沼スカウトと永野チーフスカウトもヤクルト同様、予定より数十分早く学校に到着した。「ロッテで知っている選手はいる?」と尋ねられた佐々木は「平沢(大河)選手です」と東北出身の若手の名を即答。永野チーフが「うちは東北の選手が多い。種市も頑張ったし」と話すと、佐々木は笑顔を見せたという。

やはり設備についての質問があり「40歳まで(現役を)やりたい」という趣旨の佐々木の発言もあったという。永野チーフは「私は九州出身なんですけれど、東北の方独特の落ち着きというか粘り強さ、重さを非常に感じました。好印象。投手らしいタイプだと思います」と印象を話した。圧倒的能力と人物像を一致させる段階を経て、各球団が1位指名選手を絞り込んでいく。【金子真仁】