開幕戦で帯広農が武修館に8-7で競り勝ち、09年以来10年ぶりの秋全道大会1勝を挙げた。

5番水上流暢(はるのぶ)右翼手(2年)が、初回1死満塁で走者一掃の中越え適時二塁打を放ち3点を先制。2安打4打点で勝利に貢献した。

今大会出場選手最多となる地区大会13打点を挙げた絶好調男が、またも輝いた。初回の先制二塁打に続き、3回1死二塁でも右前適時打。「夏場に調子を落としたとき、しっかり引きつけて打とうと心がけてきた。それが結果に出てきた」。今秋は計4試合で16打数11安打17打点、1試合平均4・25打点という勝負強さでチームをけん引する。

6男2女、8人きょうだいの三男。両親含め10人の大家族で育った。3人の弟が小さい頃は家事で忙しい母に代わっておむつを替え、休みの日は実家の農業を手伝ってきた。「子どもの時から自分が今、何をすべきかを考えて生活してきた。それは野球にも生きている」。この日は4番前田愛都一塁手(2年)が5打数無安打に終わったが、その後を打つ水上がしっかりカバーし、得点につなげた。

昨年、10人目の家族となる次女が生まれると、農業専門誌に「音更町一の大家族」として紹介されるほど、町では有名なファミリー。この日、両親は子どもの世話で忙しく観戦に来られなかったが「勝ち上がったら何とかして応援に来てくれると聞いている」。実家は小麦や大豆、ジャガイモなど50ヘクタールの農地を経営。大農場での草取りで培った強靱(きょうじん)なリストを生かし、82年夏以来38年ぶりの甲子園切符をたぐり寄せる。【永野高輔】