甲子園は未経験でも、プロ注目の逸材は少なくない。最後の夏を信じ、将来の夢を描く選手を紹介する。

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成田(千葉)・古谷将也捕手(3年)の矢のような送球が二塁上にいる選手のグラブに収まった。練習自粛に入る直前、3月27日に行われた紅白戦で、捕球から二塁到達まで平均1秒8を記録。盗塁を許さず、この冬練習してきた送球で自慢の肩をアピールした。

昨夏の県大会、主将として臨んだ秋季大会といずれも準々決勝で習志野に敗退した。「もう2度と同じ相手に負けたくない」と臨んだ冬。トレーニングで体重を5キロ増やし筋力もアップ。課題だったスローイングも安定した。木製バットで練習を積み、パンチ力のある打撃にも磨きがかかり、早くもスカウトの目をくぎ付けにしている。

「中2までは上を目指す気持ちがなかった」と振り返る古谷の心を動かしたのは、香取シニア・羽生惣亮監督の「お前は上を目指せる選手だ」という言葉だった。その年(16年)の夏の甲子園はテレビ観戦をしながら1球1球ノートに記録。配球を学んだ。3年夏にはU15代表に選ばれ全米選手権にも出場した。

2つ上の先輩・田宮裕涼(日本ハム)に憧れ成田に進学。昨年は田宮から譲り受けたミットで公式戦を戦った。目標は甲子園出場とプロ野球選手になること。「今年の夏は自分が活躍して、チームを甲子園に連れていきたい」と、憧れの先輩を超える夏にすると誓う。【保坂淑子】