高校球児の聖地が夏も扉を閉ざした。日本高野連は20日、第102回全国高校野球選手権大会(8月10日開幕、甲子園)と第65回全国高校軟式野球選手権大会(同26日開幕、明石トーカロなど)の中止を決定した。

新型コロナウイルス感染拡大の影響で、今春のセンバツに続く中止決断に至った。地方大会に替わる公式戦開催は、各高野連の判断に任された。甲子園出場という最大の目標が奪われ、東北各県を代表する有力校の監督、選手たちは無念の思いをにじませた。

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夏の福島大会13連覇中の聖光学院はこの日、同校グラウンドで汗を流し、練習後に中止決定を聞いた。斎藤智也監督(56)は「人生で味わったことのない一番の試練。受け入れがたい事実ではあるけれど、受け止めないと前には進んでいけない」と言葉に無念さをにじませた。

昨秋は県大会で初戦敗退。悔しさを肥やしに、一冬を越えた。春からチーム力の手応えを感じており、「雪辱の夏」と位置づけていた。内山連希主将(3年)は「秋は自分たちの情けなさが出た。冬で克服して、最後の大会でリベンジしたかった。甲子園は小さい時からの夢舞台。言葉にできないくらい残念だけど、今の状況を考えるとしょうがないという気持ちもある」と複雑な心境を口にした。

今後は県独自の代替大会開催を信じて、練習の強度を上げていく。内山主将は「自分たちを支えてくれた方々がいたからここまで来られた。成長した姿を見せたい」と前を向いた。【佐藤究】