八戸学院光星(青森)が今年初の対外試合で昨秋県ベスト4の八戸工大一を10-0と圧倒した。昨秋はバッテリーを含む主力の負傷離脱もあって、屈辱の初戦コールド負け。腰の疲労骨折から復帰した「4番右翼」大橋匠吾外野手(3年)が特大の左越え3ランを放てば、右手薬指骨折だったエース右腕・森木光汰朗(3年)も8奪三振で2安打完封と、本来の力強さを示して再発進した。

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八戸学院光星が迫力を増して帰ってきた。試合に飢えた心と体を、約8カ月ぶりの試合用ユニホームを着てグラウンドで披露。2-0で迎えた4回に森下和貴外野手(3年)の高校初本塁打を号砲に、5回には大橋も特大3ランを放ってムードも最高潮となった。昨秋は応援団長を務めた大橋は、高校通算13号に「ライナーだったけれど芯で捉えたので打った瞬間にいったと思った。近いけどバスに乗って初遠征出来てうれしい。10点取れたので最高のスタートが切れました」。森下も「紅白戦だと対戦が知っている顔ばかり。相手がいると楽しいですね」と笑顔を見せた。

昨秋の県大会前には、同春センバツにベンチ入りした主将の中沢英明捕手(3年)らケガ人が続出した。東奥義塾との初戦で3-10のコールド負け。例年以上に厳しい冬練習を課し、成果を試す直前に新型コロナウイルスが青森も襲った。関東や関西出身者も多いため帰省はせず、寮と学校に“缶詰め状態”となって感染予防に努めながら、出来る範囲で練習を継続してきた。甲子園中止決定の20日は寮の大浴場に3年生21人全員で入り、裸で号泣しあって懸命に気持ちを整理した。

エース森木も最速を130キロ台後半から、ひと冬越して143キロまで成長した。6回1死まで無安打と好投。「気迫で投げ込む外角直球を磨いてきた。練習試合を迎えられたことに感謝したいし、しっかり守ってくれたバックにも感謝です」。青森県高野連は代替開催に向けて、前向きに検討を重ねている。秋の分まで、青森で一番長く仲間とのプレーを満喫してみせる。【鎌田直秀】