センバツ切符をつかんだ1月24日の出場校発表から138日後。仙台育英にあらためて「甲子園への招待状」が届いた。新型コロナウイルスの感染拡大で春と夏の甲子園が相次いで中止に追い込まれる中、諦めていたひのき舞台が3年生にプレゼントされた。須江航監督(37)は「(センバツ中止発表時に)救済措置の話はあったが、世の中の状況が悪くなる一方で難しいと思っていた。諦めないで提案していただいたことがうれしい」と感謝した。

吉報は午後4時過ぎ、グラウンドで練習中の選手に伝えられた。須江監督から「報道陣がいっぱい来るよ」とだけ聞かされていた田中祥都主将(3年)は、「この上ない喜びで、今日からまた頑張ろうという気持ちになりました。多くの方々が自分たち球児のために、話し合いをしてくださった。感謝して最高のパフォーマンスを出せるようにしたい」と意気込んだ。

3年生40人。多賀城校舎内にある野球場(真勝園グラウンド)のスコアボードには、新たに「熱夏伝承~40人で残す軌跡~」のメッセージが掲げられた。須江監督は「夏の甲子園も中止になり、3月からどう終わるかと覚悟を決める日々だった。これは想定外」とサプライズを喜んだ。同校にとって夏の甲子園でプレーするのは4年連続で、「甲子園というフレーズが戻ってきた。1試合でも十分。夏に関していえば、ほとんどの学校が挑戦することすらできない。場所は違えどそれぞれの甲子園。多くの方々に私たちの思いを伝えていける夏にしよう」と選手たちを鼓舞した。【佐々木雄高】