日本高野連は10日、今春のセンバツに出場予定だった32校を招待して「2020年甲子園高校野球交流試合」を開催すると発表した。昨夏の甲子園を制した履正社(大阪)の主将で、元阪神関本賢太郎氏(41)を父に持つ勇輔主将(3年)は晴れ舞台が実現。岡田龍生監督(59)は中止となった大阪大会の代替大会で大阪を2連覇する手順で交流試合に出場し、「昨年の星稜さんとの決勝のつもりで」と感謝の戦いを誓った。

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1度はあきらめかけた甲子園で野球ができる。履正社・岡田監督の声が弾んだ。「子どもらも保護者も夢見てここまでやってきた。球場で試合できるのは大喜びすると思います」。日本高野連がセンバツに出場予定だった32校を招待し、「2020年甲子園高校野球交流試合」を開催すると発表。夕暮れの同校施設で感謝の笑みが広がった。そして、新たなモチベーションがわき上がった。

「(選手には)代替大会で優勝して甲子園で試合をしようという話をしたい」。夏の大阪大会は中止となったが、7月に独自の代替大会を開催。そこで大阪の頂点に立ち、8月の交流試合に出場する。例年と同じ手順を踏んで、甲子園に出る意気込みを明かした。

元阪神の関本賢太郎氏を父に持つ勇輔主将も、聖地に立てる。かねてから「小学校の時から野球を続けさせてくれた。甲子園で活躍することは、父を超えるというよりも恩返しです」と熱い思い口にしてきた。準優勝した昨秋の府大会期間中、父は仕事で夜遅く帰宅した際も助言を送ってくれた。この夏が集大成。父が在籍した縁が結んだのか、阪神球団の力添えもあり、恩返しの舞台が整った。

新チームでは主将&4番を務め、昨秋は公式戦11試合で打率4割7分6厘、4本塁打、28打点の強打を披露。二塁送球の最速1秒84の強肩捕手としても、プロ注目選手に成長した。昨年は春夏の甲子園でベンチ入りしたが、出番は代打での三ゴロ(記録は三失)1打席だけだった。岡田監督は交流試合は今春のセンバツの登録メンバーをベースにする考えで、関本も許された1試合に全力を注ぐ。

学校は現在も分散登校中で、部員は午前と午後の半分に分かれて軽めの練習を行っている。通常登校となる15日から部活動も本格的に再開の見通し。7月18日には大阪府の独自大会が開幕する。目指す場所が定まった指揮官は交流試合についてきっぱり言った。「全力で、昨年の星稜さんとの決勝のつもりで。生徒らが思う存分プレーできるように準備してあげたい」。ライバル大阪桐蔭など強豪がひしめく夏の大阪を“2連覇”し、交流試合でも昨夏決勝ような熱い戦いを。負け知らずで、関本ら3年生を送り出す。【望月千草】