全国高校野球選手権大会がなくなった今夏。球児たちはどんな思いで試合に臨むのか。直筆の手紙とともに随時掲載していく。

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飯山(長野)の主将服部夕吾外野手(3年)は、後輩に「甲子園一勝」の思いを託した。昨夏、飯山は初の甲子園出場を決め、服部もアルプススタンドで、球場を白一色に染めた飯山の大応援団を間近に、地域に支えられていることを実感した。

初戦で仙台育英に大敗したが、ここから「甲子園一勝」という目標を定めて新チームをスタートさせた。その後、台風19号の猛威にさらされ、千曲川支流の氾濫でグラウンドは水没。服部たちは懸命に泥の除去に取り組むも環境整備は大きく遅れた。

そうした逆境と向き合いつつ、今回の新型コロナ騒動で甲子園の道は断たれた。服部は「気持ちを切り替えるのは難しかったですが、今はこうして独自大会に臨めるようになったことに感謝して、練習に集中しています」とはつらつと言った。雪国飯山の球児が見せるけれん味ない真っすぐさが光る。