夏の青森大会が開幕した。メイン会場のダイシンベースボールスタジアム(青森市営球場)には、甲子園と同じ土が内野にまかれていた。

青森銀行野球部有志と県高野連が、クラウドファンディング(CF)を通して集めた300万円の資金で、兵庫の阪神園芸から約35トンの黒土を購入。6日に搬入され、約1週間かけて整備を行った。開幕から「甲子園仕様」の球場で、4チームがはつらつとプレーした。

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地面だけではなく、上空は聖地の浜風をほうふつとさせた。開幕カードに登場した青森工は風も味方につけ、六戸・六ケ所・野辺地に勝利した。同点の5回裏。平凡な外野フライが、2度も風に押し戻され、相手外野手の手前にポトリと落ちるラッキーな安打に。ここから打者一巡の猛攻で8得点を奪った。菊池穣監督(43)は「風で相手のリズムが崩れましたね。甲子園と同じ土の球場で開幕戦を戦って、勝利できたのはうれしいです。自分も(CFに)寄付したので、甲子園の土をもらおうかな(笑い)」と冗談交じりに話した。

先発のエース左腕川本知弥投手(3年)は、聖地仕様のマウンドで7回を投げ切った。立ち上がりは腕が振れず、3回2失点と苦しんだが、5回以降は無安打に抑え「グラウンドに立った時は、土がすごく黒いなと思いました。初回は緊張していたんですけど、甲子園の土のマウンドってことで、自信を持って投げました」と胸を張った。

春夏通算20度の甲子園出場を誇る八戸学院光星ナインも「青森の甲子園」をかみしめた。序盤から強力打線がフル回転し、5回コールド発進。4回に森下和貴外野手(3年)、5回は代打で登場した国武誉史外野手(3年)がそろって本塁打を放った。ともに外野手なので守備は芝生でのプレーだが、1発を放ったことで、ゆっくり甲子園の土を踏みしめることができた。

仲井宗基監督(50)は「甲子園と同じ土の上でプレーさせてもらって、非常にありがたいです。とてもいいコンディションの中で試合をさせていただきました」と感謝の言葉を口にした。昨秋は県大会初戦でコールド負け。「雪辱の夏」へ、3年生21人を中心に甲子園の雰囲気漂う球場で、県V3を目指す。【佐藤究】