佐渡が4-3の逆転勝ちで佐渡総合を下し、佐渡島同士の対戦を制した。2-3の6回1死二、三塁に大地矢童(しどう)左翼手(3年)が逆転の右越え2点二塁打を放ち、決着をつけた。村上桜ケ丘は豊栄に22-0の5回コールドで大勝。1回裏に1番須貝恭平遊撃手(3年)が大会1号になる先頭打者本塁打で打線に火をつけた。

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初球だった。左打席の大地は内角直球に反応した。体をひねりながらバットを強振。右翼手の頭を越えたボールはワンバウンドでフェンスに届き、勢いそのままに芝生観客席に飛び込んだ。2-3で迎えた6回裏1死二、三塁。逆転の2点二塁打が生まれた。「“点を取ろう”と言う気持ちで打席に入った。何が来ても強く振ろうと思っていた」。その気持ちが、バットに伝わった。

同じ佐渡島の学校同士の対戦。新型コロナウイルス感染拡大の影響で本年度は練習試合はできなかったが、例年なら練習試合を繰り返し、合同練習さえ行う親密度だった。大地にとっても相川中時代に選出された佐渡選抜の同僚が、佐渡総合には多くいた。手の内も、気心も知り尽くした相手だけに「やりにくかった」と言う。

それでも大地は勝利のために覚悟を決めた。「腹をくくって、全力でぶつかろうと思った」と、この日は2本の二塁打で大暴れした。自粛期間は自宅で素振りと筋トレ。全国高校選手権新潟大会中止には「やりきれない気持ち」になったが、ここでも腹をくくった。「こういう大会を開いてくれたことに感謝して、もっと活躍できればと思う」と前を向いた。

佐渡は17日に佐渡島をたって、新潟市内で1泊。18日には試合後に佐渡島に戻り、23日の2回戦・新潟戦に合わせて再び新潟市に乗り込んでくる。「佐渡総合の思いも胸に最後まで戦う」。大地は佐渡島2校分の気持ちを背負って打席に立つ。【涌井幹雄】