今秋ドラフト候補の国本航河投手(3年)が愛工大名電の強力打線に捕まり5回コールド負けを喫した。初回に2点を献上し迎えた2回。死球や暴投からピンチが広がり1死二、三塁から2番大石歩内野手(主将=3年)に2点適時三塁打を浴び降板。一塁の守備についた。「自慢の直球を簡単に打たれた。完敗です」と悔しさをにじませた。

プロ挑戦も視野に入るまでに成長した好右腕だが、ここまでの道のりは決して楽なものではなかった。

「ケガばかりの高校野球でした」と自身の2年半を振り返る。入学当初から腰や脇腹の故障で満足なプレーができない期間が続き、自分をふさぎこんだこともあった。

加えて、県内有数の進学校ということもあり、部活と勉強との両立にも追われた。それでも屈することなく自分を磨き続けた。故障中はウエートトレーニングで身体に励み、2年半で体重は10キロ増、球速は15キロ上がった。

この日が公式戦初先発。「相手が名電ということもあり緊張しました」と苦笑いを浮かべた。立ち上がりから制球に苦しんだが、指にかかった時の直球は打者を圧倒していた。視察した中日・清水昭信アマスカウトは「柔軟性のある良いフォームで投げている。間違いなく好素材。これからどこまで伸びるか楽しみ」と評価した。

進路については「進学も視野に入れて考えていきたい」と話す。伸びしろ抜群のインテリ右腕は、この夏の悔しさを次の舞台で晴らすつもりだ。【山崎健太】

◆国本航河(くにもと・こうが)2002年(平14)12月30日生まれ、愛知県名古屋市出身。小学4年生から野球を始めウイングベースクラブに所属。天白中では軟式野球部に所属。名古屋では2年夏からベンチ入り。最速144キロ。遠投100メートル、50メートル6秒5。182センチ、77キロ。右投げ右打ち。