昨夏の甲子園出場校・日本文理が、昨秋の県覇者・北越を7-0の7回コールドで破り、準決勝進出を決めた。7番千島広大捕手(3年)が2回表1死二塁から右翼線に先制の適時二塁打を放つなど前日1日の4回戦・新潟戦に続いて4打数3安打2打点の活躍をみせた。上越は関根学園に7-6で逆転勝ちし夏は初の4強入り。2-5の7回裏2死満塁で公式戦初打席の堀川柊斗捕手(2年)が左中間に走者一掃の同点二塁打を放ち、チームを勢いに乗せた。準決勝は4日、ハードオフ新潟で行われる。

     ◇     ◇     ◇

大盛り上がりの日本文理ベンチを千島は二塁上から表情を緩めながら見つめた。「(先発の)長谷川のためにも先制したかった」。2回表、北越のエース阿部柚士郎(3年)のスライダーを右に流し打ち。二塁走者の長谷川がガッツポーズで生還したのを目にすると、喜びが湧いた。

この後も背番号12が躍動した。3回表には左越えの適時二塁打。先頭打者だった7回表は三前のバント安打でコールド勝ちの流れを作る。前日の4回戦・新潟戦は9番に入り4打数3安打2打点。一夜明けて打順は2つ上がって7番に。「2日続くかどうか心配だったけど打てて良かった」と笑顔を見せた千島を、鈴木崇監督(39)は「脇役としてよく仕事をしている」とたたえた。

3回戦の新潟江南戦で公式戦デビューし、そこから3試合連続での先発マスク。打撃は11打数7安打5打点、守っては延べ5投手をリードして無失点に導く。東京出身で町田シニアで硬式野球を始め、日本文理へ進学。最後の夏は新型コロナウイルスの影響で甲子園が中止になり目標が見えなくなった。落ち込んでいた時に2学年上のOB、ヤクルト鈴木裕太投手(20)から電話をもらった。「甲子園だけが野球じゃない。最後までやり切ろう」。ブルペンでボールを受けた先輩の言葉が励みになった。

「打倒北越が1つの目標だった」と言う鈴木監督は「もっと強い日本文理をみせたい」とギアの入れ直しを選手に求めた。昨秋の初戦敗退後、自分たちの成長をはかる昨秋県王者との重要な一戦を制した。「1つの試合が集大成のつもりで」。見えてきた夏の頂点に向け、千島は改めて足元を確認した。【斎藤慎一郎】