昨夏の甲子園出場校・日本文理が6-2で村上桜ケ丘を破って決勝進出を決めた。4-2の7回裏1死一、三塁で4番大矢怜中堅手(3年)が右翼線に2点適時三塁打を放ち、相手を突き放した。中越は上越に7-0の7回コールド勝ち。1回裏1死一塁から主将の3番広瀬航大二塁手(3年)が右翼へ2試合連続となる先制2点本塁打。主砲がチームを勢いづけた。両校は6日、ハードオフ新潟で対戦する。

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三塁に滑り込んだ大矢は、ほっとした表情で一塁側ベンチに視線を向けた。「抜けてくれ、と思った」。狙いは直球だったが、打ったのは高めのスライダー。「狙いとは違ったけど、浮いた変化球を捉えるのはチームの決め事」。とっさの判断に迷いはなかった。

7回表から3番手で登板した長谷川優也(3年)が3安打を浴びて1失点。4-2に追い上げられた。相手に傾きかけた流れを断ち切りたかった。「長谷川は調子が良くない中でも1点に抑えた。みんながつないでくれたので自分が打点を挙げたかった」。大矢の打順は当初3番だったが、準々決勝北越戦から4番に上がった。公式戦初の4番を務めて2試合。「チームの一打者としてつなぐだけ」。フォア・ザ・チームに徹し主砲の任務を遂行した。

「調子の良い選手から打順を決めている。大矢が良い形で打ってくれた」。鈴木崇監督(39)は貴重な一打をたたえた。北越戦は4打数2安打1打点と好調。それでも、前日の打撃練習では体が開き気味のフォームを矯正。気を緩めずにこの日に備えた。

中越との決勝を控え鈴木監督は「最高のスタメンで最高の戦いをしたい」と話した。「4番を打つことになったら、つなぐ打撃をする」。最高の試合で最高の結果をつかむため、大矢はやるべきことに徹する。【斎藤慎一郎】