前橋育英は終盤に粘りを見せるも届かず、夏5連覇は果たせなかった。序盤は好調だった。細野力輝百(りきと)外野手(3年)のソロ本塁打などで4点を先取した。3回まで相手打線を無安打に抑えるも、2巡目以降に捕まった。6人で継投したが11点を失った。8回には1点取らなければコールド負けという状況で、プロ注目の下慎之介投手(3年)から1点をもぎ取った。9回にも4点を奪って2点差まで追い詰めた。

須永武志主将(3年)は「後輩たちに6連覇の目標を残してやれなかったのが悔しい。でも終盤の粘りなどは良いところを見せられた」と涙を拭いながら話した。

須永は生まれてからずっとキャプテンだった。高校だけでなく、小学1年から中学までもキャプテンを務めた。父稔さん(50)は「武志は小さいころからずっと真面目な子だった。小さい子ってどうしてもふざけたりすることがあるけど、そういうのもなかった」と、昔から大人びていた息子を誇った。主将だけでなく4番としてもチームを引っ張る立場だ。しかし、前の試合から安打が出ず、この日も4打席目までは快音を響かせることはできなかった。迎えた9回無死一、二塁、高校最後の打席。スライダーを左前に運び、8打席ぶりの安打を放った。須永は「みんなの声が打たせてくれました。最高の仲間たちと野球ができてよかった」と涙ながらに感謝した。

次なるステージは社会人野球。プロの舞台での活躍を見据え、新たな挑戦が始まる。【小早川宗一郎】