三島南(東部3位)が、金星を挙げた。優勝候補の静岡高(中部1位)に3-1で競り勝ち、1958年(昭33)以来、62年ぶりの4強入り。先発の植松麟之介(りんのすけ)投手(1年)が、1失点完投を果たした。常葉大菊川(西部5位)は、プロ野球広島元選手で同1軍外野守備・走塁コーチの広瀬純氏(41)を父に持つ広瀬蓮外野手(2年)が、9回に決勝打を放ち、チームを3年ぶりのベスト4に導いた。藤枝明誠(中部5位)と加藤学園(東部1位)を加えた4校が、26日の準決勝に臨む。

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三島南の1年生投手が金星の立役者となった。2点リードした9回裏2死。最後の打者を遊ゴロに打ち取り、植松は喜びをかみしめながら整列に加わった。「疲れました。まだ実感がわかないです」と初々しく話した。春夏通算42度の甲子園出場を誇る名門相手に、6安打1失点完投。大仕事をやってのけた。

作戦通りだった。強打の静高打線を警戒し、外野陣は深めの守備位置をとった。稲木恵介監督(41)は「長打を防ぐことに集中した。単打は仕方ないと割り切らなければ、勝てない相手なので」と話した。失点は本塁打の1点のみ。「高めのつり球が有効だった。うまくハマった」と植松。右横手からの緩急を付けた投球で、外野へのフライアウトは実に12個を数えた。

粘投に上級生が応えた。7回表2死一、三塁、斎藤崇晃外野手(2年)が低めの直球を捉えて左前へ決勝打。今大会は不振が続いていたが「意地で打った。静高に名前負けしないよう、全力で立ち向かった」と胸を張った。

今年は創部100周年。節目の快進撃に、勢いは増すばかりだ。準決勝に向けて植松は「甲子園へ行きたい。この日の勝ちを忘れ、次の試合に集中したい」と気持ちを切り替えた。【古地真隆】

◆植松麟之介(うえまつ・りんのすけ) 2004年(平16)8月19日、東京・調布市生まれ。4歳で沼津市に転居。沢田小1年から沢田少年野球団(現沼津ヒーローズ)で野球を始める。金岡中時代はスルガマリンボーイズでプレー。右投げ右打ち。176センチ、63キロ。血液型O。