盛岡大付が7-2で花巻東を破って3年連続の東北大会(10月14日開幕、宮城県)出場を決め、秋3連覇にも王手をかけた。

1回表に先制を許したが、3回裏に強打で勝ち越し。6回から救援した右腕・渡辺翔真投手(2年)が最後は3者連続空振り三振で締めるなど、4回を6奪三振無失点の好投で導いた。今夏の独自大会を制した一関学院も花巻農を9-2で退け、決勝に進出した。

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渡辺がマウンド上で歓喜の雄たけびをあげた。8回に2四死球などで満塁の危機を脱し、9回も下位打線に3連打を喫して無死満塁。「点差があったので1、2点は仕方がないという心の余裕も持ちながらも、点は取られたくない強い気持ちも持って投げていた。三振を取れたことは良かった」。キレの良い直球を外角に集め、3者連続空振り三振で締めた。

昨秋から投手と野手の二刀流で主力を務めてきた経験値も生きた。この日守っていた遊撃と投手は送球距離が大きく違い、登板後にボールが高く浮く傾向にあったが、投球練習時に野手投げから投手投げに少しずつ移行して投球フォームを固めるなどの工夫も出来るようになった。入学後、公式戦では花巻東に負けなし。「緊張感はあるけれど、接戦を勝ちきれる自信もあった。先制されても焦りはありませんでした」。2-2の3回には渡辺の右中間二塁打を皮切りに逆転。相手エースを途中登板させ、自己最速を4キロ更新した147キロ直球も対策を重ねてきた打撃を披露するだけだった。

27日の決勝は、今夏決勝で敗れた一関学院と対戦する。「夏の決勝は自分が最後の打者になった悔しさがあるので、もう負けられない」。コロナ禍で甲子園の目標を失った先輩の気持ちも、一緒にプレーした分、大きく背負っている。学業成績も校内NO・1の頭脳で投打に工夫を凝らし、まずは3年連続の秋頂点をつかむ。【鎌田直秀】