大阪の大型左腕が10月26日のドラフト会議でプロの指名を待っている。大阪偕星学園の新庄涼基(あつき)投手(3年)は、ダイヤの原石として今秋ドラフトの隠し玉的存在だ。28日には、同校グラウンドでの紅白戦に登板。190センチの長身から角度ある上投げと、制球力のある横投げの「二刀流」で後輩たちを翻弄(ほんろう)した。

「阪神の高橋遥人のように内角、外角にズバッと投げたい」と、上からは最速141キロの直球を力強く投げる。横手投げを始めたのは夏の大阪独自大会の直前だった。山本皙監督(52)が、智弁和歌山との練習試合で高嶋仁名誉監督(74)に「横で投げさせてみたら」とヒントをもらったことがきっかけだった。

夏の独自大会は初戦敗退。登板機会はなかった。8月末の甲子園でのプロ志望高校生合同練習では、シート打撃ですべて上で投げたが緊張もあり、思うような投球はできなかった。それでも、50メートル5秒8とチーム一番の俊足、これまで故障したことがない190センチ左腕という素材に、ソフトバンクなどが、その将来性を評価している。育成からでも大化けする可能性もある。「150キロを投げられるようになりたい。高いレベルでエースと呼ばれたい」。小、中、高とエースではなかった左腕が「投手」として、運命の日を迎える。【石橋隆雄】

◆新庄涼基(しんじょう・あつき)2002年(平14)年12月2日生まれ。京都府綾部市出身。中筋小4年から中筋ジャガーズで軟式野球を始める。綾部中では硬式の綾部ボーイズでプレー。大阪偕星学園では2年夏からベンチ入り。今夏は背番号9で外野手として出場した。190センチ、87キロ。左投げ左打ち。