春秋を通じ84年の創部以来初となる山田の近畿大会への挑戦は、履正社との3位決定戦に持ち込まれた。準決勝は東海大大阪仰星相手に直球が110キロ程度の背番号3、アンダースローの今立(いまだて)尚希投手(2年)を先発に起用。遅球で打者を惑わすはずだったが、制球難もあり打者9人、4安打、3四球、4失点。わずか2/3回でKOされた。

東海大大阪仰星の最速144キロ右腕・高橋怜央(れお)投手(2年)対策として、チームで速球対策打法にも取り組んだ。金子恭平監督(41)から「公立ではいないスピードなので、構えのトップを先につくって、そのままバットをストンと落とすような打法」のヒントを与えられ、打者9人のほぼ全員が、バットを寝かせ、引いた状態で構えた。ただ、この1週間で取り組んだばかり。どうしても打球に力強さは生まれず、6回でわずか2安打。暴投での1点しか奪えなかった。

4強唯一の公立校。2回戦からすべて私立相手に5連勝で勝ち上がってきた。3回戦は不戦勝だったが、その後は浪速、上宮、大産大付と撃破してきた。この新チームから練習メニューなどを選手が組むなど「自主性」を重んじるように方針を変えた。選手31人、マネジャー2人すべてに倉庫係やネット係、草抜き係などそれぞれに役割を与えるなど、自分たちで考え、チームを運営させている。ミーティングの時間も増えた。今回の速球対策打法も、選手たちが提案を受け入れることを決めた。

悔しい6回コールド負けも、まだ3位決定戦が残っている。金子監督は「16強が目標だったので、4強はできすぎ。これで満足はしていない。こんなチャンスはない。諦めてはいない。勝ちにこだわりたい」。背番号15の尾崎紀昭主将(2年)は「楽しんでやりたい」とやる気十分だ。相手は履正社。この日のように策を考え、ぶつかっていく。【石橋隆雄】