高校野球の秋季近畿大会が18日、わかさスタジアム京都で開幕し、初出場の山田(大阪3位)が龍谷大平安(京都1位)に1-4で敗れた。

大阪府予選では履正社を破る金星を挙げたが、快進撃は止まった。それでも春夏通算75度の甲子園出場を誇る名門相手に、最後まで食らいついた。

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履正社戦に続く金星はならなかった。だが、大阪の府立高が甲子園歴代最多75回出場、103勝を誇る龍谷大平安を苦しめたことは間違いない。山田の先発、坂田凜太郎投手(2年)は「ヒットも少なく抑えられて、直球でも三振取れて自信になった。思ったより通用したと思います」と胸を張った。被安打4は全部単打で4奪三振は全て見逃し。コースをついた丁寧な投球と緩い変化球で凡打の山を築いた。敵将の原田英彦監督(60)に「重かった。京都大会にはない空気。相手の投手に打たされたというか、ずらされた」と言わしめる展開に持ち込んだ。

5回終了時点で0-2の接戦。打線も相手を上回る7安打を放った。だが、計7度出塁したうち4度併殺打に倒れ、失策や暴投で追加点を献上。金子恭平監督(41)は「守備力の違いを感じました。二遊間に打たないように意識したがうまくいかなかった。課題が明るみに出て、彼らも悔しさを感じているのでつなげたい」と敗戦を受け止めた。

「前向き」が山田のカラー。5回終了時のベンチ前、失策した三塁手の富永大朗内野手(2年)に向かって金子監督自らがボールを転がした。富永が捕球するとベンチ全員で歓喜した。試合中は、点差が離れても「いける(逆転できる)気しかしない」と絶叫。ハイテンション野球を貫いた。

大阪の公立校として市岡以来26年ぶりに近畿大会に出場。ベンチ入りメンバー20人の平均は170センチ、61キロの軽量軍団。狭いグラウンドでも創意工夫を重ねた練習で進撃してきた。坂田は「1カ月前まではこんなところに来られると思っていなかった」と明かす。普通の高校生たちは、この大躍進を秋だけで終えるつもりはない。【望月千草】