都立の富士森が強豪相手に健闘した。大黒柱の3番・比嘉宇基(たてき)内野手(2年)が、プロ注目の左腕・羽田慎之介投手(2年)から一時同点となる3ランを放ったが、最後は力負けした。

3点を追う3回1死二、三塁、比嘉は高めに浮いたカットボールを振り抜いた。打球は右翼ポール際、98メートルのフェンスの奥にあるネットの中段へ。記念すべき高校第1号が公式戦で、しかも好投手相手に飛び出し「今までにない打球だった」と笑顔を見せた。

ミスを取り返す一打でもあった。2回1死一塁、比嘉の守る遊撃にゴロが飛んだ。併殺も狙える場面だったが、バウンドが合わず失策。その後、3点を失い「取り返さないとという気持ちがあった」と明かした。

学業の成績も優秀で、チームメートからの信頼も絶大。広瀬勇司監督(57)も「うちでは別格。高い意識を持っている。最初に練習に来て最後に帰るような子」と信頼を寄せる。

富士森は昨秋の2回戦で、優勝した国士舘と9-11の打ち合いを演じた。比嘉はこの試合でも安打を放ち、チームを引っ張ったが及ばなかった。悔しい敗戦を糧に成長を続ける大黒柱。来年こそ、自身の活躍を勝利につなげる。【小早川宗一郎】