投打の柱の存在は大きかった。来秋ドラフト候補の天理の190センチ右腕・達孝太投手（2年）が呉港（広島）との練習試合に先発し、7回2安打無失点と安定感ある投球で試合を作った。同じくプロ注目の瀬千皓外野手（2年）も4番左翼で先発出場し、4打数2安打1打点をマーク。1点リードの8回に適時打を放ち、接戦をモノにした。

大舞台を経験してきた貫禄はこの日も健在だった。達は得意球のフォークを駆使するなどして、3回以外は毎回の計7奪三振。だが「納得のいく部分はなかったです」と序盤から外中心の配球になってしまったことを悔やみ「もっと初回からインコースを使って、試合を楽に進めていけたら良かった」と結果以上に投球内容にこだわった。

まだ1年生だった昨秋の近畿大会決勝。同大会初登板で横綱・大阪桐蔭を相手に8回途中4失点と力投。以降、いち早く次代のドラフト候補生として名を連ねてきた。この日は3球団が視察し、阪神山本スカウトは「身体的な魅力も感じるし、来年に向けて楽しみな逸材。下半身も一冬を越して鍛えられたらますます球速も出てくると思う」と伸びしろに太鼓判を押した。

同じくプロ注目の瀬は、相手の下手投げ右腕に苦戦しつつも、最終打席となった1点リードの8回1死三塁では「上から投げている投手のストレートをイメージした」と直球を左前に運んだ。直後の9回表に1点差に詰め寄られ、結果的にの1点は大きいものに。「打線が相手投手にはまってしまって、苦しいときに打って流れを変えようと思っていました。1本最後に出て良かった」と主軸の働きに胸をなで下ろした。

この日で全国9地区の来春のセンバツ出場候補校が出そろった。天理は、今秋の近畿大会準々決勝で大阪桐蔭に敗退。一般的に来春センバツへ「出場当確」と言われる4強入りを逃した。可能性として「（センバツに）出られるとなったときに大阪桐蔭さんに当たるまで負けられないし、次当たったら、やり返すつもりで自分たちはこの冬は頑張ります」。そう語る瀬の言葉がナインの総意。吉報を信じ、鍛錬の時間を積む。【望月千草】